青い鳥のいる部屋 55
そういえば、最近は家族で休みの日に出かけることも、めったになくなっている。
それぞれに友達や知り合いとの付き合いがあり、休みの予定が合わなくなってきているのだから、仕方がないのかもしれない。
今年はゴールデンウイークにも、家族揃って出かけることはなかった。
一日くらいみんなで外で食事をしたり、ショッピングをしたりする日があってもよかったのに。
明日は久しぶりに木村さんと田辺さんと一緒に、最近新しく近所に出来た大型のショッピングモールに買い物に出掛ける予定だ。
ランチバイキングが評判の美味しいレストランもあるらしいので、一日ゆっくり買い物をして美味しい物をいっぱい食べて、日頃の愚痴を言い合って楽しんでこようと思う。
ただ、休みで家にいると思っていた一馬が、また文章の講座と友達とのカラオケで遅くなるという。
子供たちのことが、少し気がかりだった。
「明日の予定って変えられないの?文章の講座を休むか、カラオケを他の日にしてもらうか」
「今日の明日じゃ無理だよ」
「私も出掛けるから子供たちだけになっちゃうのよ。心配じゃないの?」
「普段だって、俺が仕事にいってる間にお前が学校の用事とかで留守にすることもあるだろう?」
「そうだけど…いつもは1~2時間だもの。明日は一日中よ」
「お前だって予定変えられないんだろう?大丈夫だよ。ふたりともしっかりしてるし、もう小学生じゃないんだから」
一馬は呑気に言っているけれど、ふたりともまだまだ子供だ。
でも、自分も他の日に変えるつもりはないので、ふたりには留守番していてもらうしかない。
「ふたりとも大丈夫?」
「大丈夫だょ。そんなに心配しないでも」
「うん。大丈夫だょ」
「そぉ?じゃあ、火の元には気をつけてね!」
「うん」
お昼は自分たちで、マックかケンタで済ませるというので、昼食代だけ詩織に渡しておいた。
翌日の土曜日、迎えにきてくれた田辺さんの車で目的地のショッピングモールに向かった。
一時間くらい、ショップを冷やかした後、楽しみにしていたランチバイキングのレストランに入った。
どのお料理も美味しく、目移りしてしまう。
人に作ってもらう食事はどうしてこんなに美味しいんだろう。
ひとしきり食べる物を食べて、くだらない話題で盛り上がったところで、木村さんがいつも見ている昼の帯ドラマの話を始めた。
この春からスタートしたドラマは、いかにも“昼メロ”というドロドロの不倫もので「こんなの絶対ありえない~」と言いながら3人してハマってしまった。
現実離れしたストーリー展開にドキドキハラハラしながら、主演の俳優がちょっといいオトコだものだから盛り上がっている。
「先週の放送見た?」
「見た見た!」
「とうとう奥さんより和樹は美由紀を選んだのよね~」
「でも、わかるわぁ~、だってあの奥さんって全然和樹のことわかってないんだもの」
「そうそう、あれじゃ和樹もいつも自分のこと理解してくれてる美由紀に惹かれるの無理ないわよね」
木村さんと恭子がふたりで盛り上がっていると、田辺さんが聞いてきた。
「ねぇねぇ。もし美由紀みたいに和樹みたいな男性とめぐり逢っちゃったら…どうする?」
「いやぁ~、ないない。そんなドラマみたいなこと」
「だいいち、和樹みたいな優しくて気が利いて…なんて、そんな男性が現実にいるわけないじゃない?」
「そうよねぇ」
「でも、川相さんのご主人ってなかなか素敵じゃない?いつも挨拶するとき、うちのダンナも川相さんのご主人くらいセンスがいいといいのにって思うわぁ」
田辺さんがマジメな顔をして言うものだから、恭子は思わず吹き出してしまった。
「うちのダンナが素敵ですって!?着るものなんていつも黒ずくめで変わり映えしないのに」
「あら、でもそれが似合ってるんじゃない?それに挨拶するといつも感じよく返してくれるし…」
「川相さんのご主人っておいくつだったかしら?」
「私たちと同い年よ」
「まぁ~!若く見えるわよね!」
「うん。失礼だけど川相さんのほうが姉さん女房かと思ってたわ」
「あら!?木村さんたら失礼ねぇ」
「女性にモテそうよね。優しそうだし。浮気とか…心配じゃない?」
「ないない。あんなオジサン。好きだっていう物好きいないでしょう」
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