夢で逢えたら 1
「お帰りなさぁ~い。」
「ただいまぁ~(^^ゞいゃぁ…疲れたょ…」
「今回の“伊豆の踊り子グルメツアー”は、どうでした?」
「それがさ、来週から~GWだっちゅうのに、意外に道路は渋滞してるし…
なんたって、あんた…あの"おばちゃんグループ"には、まいったょ!」
「そんなに、嫌なことがあったんですか?」
「いぇね…皆さん人はとてもいい人たちなんだけどね…バスで待ってると…
とにかく、ほれ、これ買って来たから食べなさい…とか?いろいろと休む間もなく人が入れ替えで
食べなさい…食べなさい…っていうのと話し相手ばかりで…全然、休憩すら出来なかったし、
お腹は"パンパン"だし…すっごく、疲れたょ。 楽しかったけどね! 」
「やっぱり、出発場所やツアーの内容でもユーザー層って違うんですね。
伊集院さん、お疲れ様でした!はぃ、お疲れみたいだから、ちょっと甘めのコーヒー…
飲んで少し落ち着いて下さい。」
「ありがとう、真希ちゃん、ちょうど飲みたかったとこだょ。いつも、良く気がつくね。…」
「伊集院さん、来週のGWは、どちらのツアーでしたっけ? え~っと?
GWから~来月の予定は…富士五湖方面が二回と千葉の房総方面…あと、白樺湖方面もありますね!でも、長距離の運行予定はないみたいですょ。」
「そっか、じゃぁ…真希ちゃん、悪いけど…GWの運行タイムスケジュールをコピーしてくれるかなぁ~
明日は非番だから、少し頭にルートを入れておくょ。」
「はぃ、わかりました、じゃぁ…先に着替えてきたらどうですか? その間に用意しておきます。」
そして…10分後~
「さてと…横浜インター近くの"万葉の湯"にでも寄って疲れでもとるか~真希ちゃんコピーはどう?」
「あっ!はぃ、伊集院さんの机の上に封筒に入れて置いてあります。」
「ありがとう、じゃぁ…今日は、お先に!」
「はぃ、お疲れ様でしたぁ~」
彼の名は…
伊集院 航 (いじゅういん わたる)
27歳 独身 生まれは千葉県
現在は東京都内在住…とはいっても23区外。
仕事は、旅行代理店専属の運転手。おもにバスのドライバ-をしているが、観光用のタクシ-の
運転も時々やっている。
伊集院 航の父は元旅客機のパイロットだった。
父は、男の子が生まれた時に、いろんな意味を含めて、"航"という名前にした。
そこには、自分と同じ様な"人を運ぶ"という仕事に就いて欲しかったという想いがあったのだろう。
そして、今は亡き父は・・・長旅を終えて帰宅すると、航と4歳上の姉の遥(はるか)に、旅先での
出来事や乗客や現地の人たちとの交流の話をよくしてくれていた。
航は幼い頃から~そんな父の姿を見て大きくなったら自分もパイロットになろうと"夢"を持ち、
やがて、航空大関係の学校へと進むが途中…パイロットを目指す者には、不向きな病気が
あるのが見つかり、悩んだ末パイロットへの道を断念した。
しかし、幼い頃から~父から、人を運ぶ仕事というのは、そこに乗っている人たちの様々な
人生模様があり、その人たちの人生の一場面に関わっていることもある。
だから、父はパイロットを選んだと...
幼き頃に、良く聞かされたことがあり、父が自分の仕事に"誇り"を持っているところが 好きだった。
だから、人を運ぶ仕事をしたかった。
しかし、生まれながら自らが持った宿命とも言えるものを受け入れなければいけなかった航は、
昔、父が航に話した言葉の中に~“人生にはいくつもの引き出しがある、どの引き出しを引き出して
道を選んでも、その全て間違いではない…そう常に自分自身を信じて生き抜くことだ!”…と
そして、航が選んだのがタクシーの運転手と観光バスの運転手だった。
何故かと言うと、直接、乗客とコミニュケーションが取れるからだった。
運ぶ人数やカタチは違っていても、彼は、自分の仕事にはプライドを持っている。
観光バスやタクシーも、自分の中では、旅客機のシッブ(操縦席)のようなつもりで運転している。
昨今、人との関わり合いが嫌いな若者たちが多い中、そんな、最近のの若者にはいないくらい…
彼は人との関わり合いを大切にしている、そんな青年だ。
また、休みの日などは、海が好きで良く、鎌倉~茅ヶ崎あたりの湘南方面…に、良く出かける。
高校時代からサーフィンもしていたので波に乗ったり、海近くのお店で美味しいものを食べたりと
彼はお酒は日々の仕事柄、翌日に残ってもまずいのであまり飲まなくなっていた。
代わりに、珈琲や紅茶など好きで美味しい店を見つけては、ひとりでぶらりと立ち寄ったりもしている。
それから、彼は小学校~中学校までの9年間は地元のスイミングスクールに通っていた…
中学3年の時にはインターハイで東京都代表にも選ばれたほどの腕前でもある。
あとは、普段が運転の仕事なのだが、プライベートで、"ぶらり旅"などもするのも好きだった…
例えば、映画も良く観にいくので、その映画の舞台となった場所を廻ってくるのも好きで、
その旅先で、見たり感じたことを詩にして写真と一緒に残して、最近流行りのBLOGも始めようかとも
思っている。
彼が好きな過ごしたい生活スタイルは…ONとOFFをちゃんと分けて、OFFでの、風の流れるような~
過ごし方が大好きみたいだ。
「さてと…ゆっくりと湯にでも浸かってから、明日は非番だから、少し早いけど…来週の命日は仕事だから、
先に親父の墓参りにでも行ってくるか。」





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